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industry4.0

スマート工場

 industry4.0とは?

IoTの活用による生産プロセスの革新の代表的な事例が、ドイツの国家イニシアティブである「インダストリー4.0」です。

ドイツは我が国と同様に、少子高齢化による労働人口の減少や原子力発電所の停止などに起因する、国内立地環境の悪化に伴って、

GDPの約25%、輸出額の約60%を占める製造業の存在感が著しく低下しつつあること、さらにはアジア地域への製造拠点流出の懸念が高まったことなどを背景として、2011年にドイツ製造業の競争力強化・空洞化防止のための構想として、この「インダストリー4.0」を提示しました(図)。

2011年というと記憶に新しいのが、東日本大震災の頃ですが、この頃にすでにドイツでは国家主導の製造業改革の取組みを行っていたのです。

この「インダストリー4.0」というのは「第4次産業革命」とも呼ばれているものですが、その特徴は「サイバーフィジカルシステム」(次項参照)をベースとした製造業の高度化であり、ものづくりの拠点としてのドイツの未来を確実なものにするために、産業界と学界が一緒になってその構想を練ったところに始まりました。

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CPS(サイバーフィジカルシステム)とは?

ここで改めて、サイバーフィジカルシステム(CPS)のお話になります。

製造現場におけるサイバーフィジカルシステムは、スマートな生産設備等から構成され、それぞれが自律的に情報を交換し合い、作業指図を行いながら制御できる機能を有します。

このような工場において製造されるスマート製品は、それぞれが個々に識別可能で、いつどこにいても、自身の作られてきた履歴、現在の状況、完成までのルート、出荷されるタイミングや出荷先を知っています。

また、このようなプロセス全体を管理する製造システムは、市場や受注の動向も踏まえ、今まさに何を作っているか、今後何をどれくらい作るべきかについて、本社と工場を繋ぐネットワークを通じて、本社や他の工場の状況とも連携しつつ、リアルタイムに分析し、常に最適な状態を維持することが可能になります。

このように、サイバーフィジカルシステムのもとで製品や製造工程にかかる、あらゆる情報をデジタル上に再現するとともに、実際の製品や、製造工程がどういった状況にあるかリアルタイムで把握し、それらの情報を統合したうえで、最適な生産を実行する。

このようなサイバーフィジカルシステムを構築することによって、市場の求める多種多様な商品を小ロットから柔軟・迅速に生産・出荷できる対応がまさに、今後の製造業で求められるものではないでしょうか?

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プラグ&プレイ方式の事例

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画像:科学技術振興機構提供

ここで一つの事例をご紹介します。インダストリー4.0においては、小ロットからの商品を柔軟に生産対応するために、生産現場に「プラグ・アンド・プレイ」という方式が検討されています。

これは、それぞれの生産機械を機能別にモジュール化するとともに、モジュールどうしの接続インターフェースを共通化することによって異なるモジュールどうしの接続を容易にした上で、そのモジュールを柔軟に、自動的に組み替えることで生産ラインの「段替え」を自動化するというものです(具体例は図参照)。

現在、日本においては、異なるメーカーの機械は通信規格が異なるのが通常なので、それらの機械を接続(インテグレート)することに非常に大きな時間とコストがかかるのが現状です。

したがって、頻繁に段替えを要するような多品種少量生産に対応するラインは通常の大量生産ラインとは別々に構成するケースが多く「多品種少量生産=(イコール)コストが高い」ことが常識となっています。

 

一方ドイツはそのインテグレーションコストを極小化し、生産ラインの段取り替えまでも自動化することで「1品モノ」の製品を大量生産と同様の納期・価格で提供することを目指しています。

このように、あらかじめ決められた生産計画に従ってできる限り効率よく、質の高いものを作る、あるいは生産現場の絶え間ない改善によって競争力を強化するという我が国が得意としているボトムアップの発想を追求するのではなく、マーケットニーズ(市場の要望)を出発点として、デジタル上のシミュレーションによって最適と判断された生産ラインに実際の生産ラインを常に同期させるというトップダウン的発想に基づく「インダストリー4.0」の生産方式は、

これまでの日本の製造業が追及してきた従来の生産方式を根底から変えようとするものといっても過言ではありません。

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画像:経済産業省2017年6月政策特集より

コネクテッドインダストリーズ①

近年、IoT技術の進展などに伴い、さまざまな製品・サービスが遠隔地でも相互連携し、情報をやりとりできるようになってるというのは前項でもご紹介させていただきました。

いわゆるこの「第4次産業革命」と呼ばれる世界的な変革を踏まえ、

2017年に日本政府が打ち出した戦略というのが皆様の記憶にも新しい「コネクテッドインダストリーズ」というものです。

 

すでにこの時点でのドイツでは、ドイツ国内に本社を置くシーメンスは、生産、在庫、販売といったモノづくり全体のIT化を横軸で押さえていっています。そして同じくドイツに本社があるSAPは、サプライチェーン(供給連鎖)における企業間連結を押さえていっています。まさに縦(企業間連携)と横(モノづくり全体のIT化)からドイツ企業がしっかりと、製造業を世界で一歩も二歩も進んでいる状況を作ったというのが実情で、日本から見ると危機を感じるのは当然のことです。

製造業のデジタル化で先行するドイツに対し、日本が下請け的な立場になるのではと危惧する声は、産業界でも非常に多くなっています。

コネクテッドインダストリーズ②

その上で、日本は何を強みに一大変革に向き合うべきかが問われています。

コネクテッドインダストリーズの基本概念は、そんな試行錯誤の中から生まれました。

それでは遅れをとった日本が世界に勝つために政府が進めているのは何か?

それは日本には、製造現場の極めて正確なデータがたくさん蓄積をされています。

実はそれはドイツにはまだかなり少ないというのが実情なんですね。

ドイツと対等に渡り合える部分が、ここにあると経済産業省でも言われており、

コネクテッドインダストリーズで「データ」が重要要素とされているのは、このためです。

新たな構想の実現に向け、経産省はデータ活用を促すための環境作りを急いでいます。

一つの例が、データ活用をめぐる「ルールの整備」ですね。

ただ、実際はどこからをその会社のデータとし、どこまでを共有するのかは非常に線引きが難しいところ。

場合によっては、守秘義務などの観点からも企業間の紛争に発展しかねません。

このため、まずは「データの利用権限」の概念の普及に努めることに政府は着目し、データの扱いに関する契約が企業間で適正に結ばれるよう、ガイドラインを作成し公開しました。

このほか、そもそもデータの記述様式が統一されていないなど、まだまだ現状では課題も多いのですが、「コネクテッドインダストリーズ」が企業と企業、機械と機械などあらゆる要素を円滑につなげるため国家戦略として位置付けられています。

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ORiN(Open Resource Interface for the Network)とは

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そんな中、日本のインダストリー4.0を進めるにあたって障害になっている「制御ネットワーク」について触れさせて頂きます。

制御ネットワークに依存しないもう1つの方法、つまり、通信規格の異なる装置同士を仲介し通訳機能を果たす役割を持つツールを

活用する方法があります。

このようなツールとして代表的なものに、ORiN協議会(登録商標は日本ロボット工業会)のORiNや、今回ドイツが推奨しているOPC協議会のOPC-UAがありますが、正直どちらも、国内では現時点でそれほど普及していないのが現状です。

ORiN(Open Resource Interface for the Network)は、当社も所属している団体、日本ロボット工業会が2001年に提唱し、現在はORiN協議会が管理する通信インターフェースです。

これは、生産装置メーカーや制御機器の通信規格に依存せずに、上位のアプリケーションと工場内の生産装置を接続するための標準的なインターフェースを持たせようとするものです。

少しご説明しますと、ORiNによって装置のメーカーやモデルごとに存在する通信規格の差異をORiNが抽象化して吸収してくれるため、既存の設備を活かして柔軟に上位系アプリケーションを開発・選択することが可能となります。

また、後に更新サイクルが来た設備を刷新しても、既に開発・導入したアプリケーションをそれに合わせて改修する必要がないため、既存の設備やソフトウェアの有効な活用手段としても期待されています。

当該規格はすでにその一部が国際標準規格として採用されているものの、各装置メーカーがORiNへの接続インターフェースを実装しているわけではない点が、今後の課題ではあります。

ただし、そもそも我が国では、通常工場内の制御ネットワークは基幹系ネットワークとはつながっておらず、独立している例が大多数です。

そもそも両者を連携させるという目的がこれまでなかったことがその最大の要因と考えられますが、それに加えて、この両者をつなぐインテグレーター自体が国内で大変不足しているという課題も存在しています。

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日本におけるSier(システムインテグレーター)の不足

日本におけるシステムインテグレーターはそのほとんどが中小企業であり、そのノウハウも、基幹系(IT 部門) のインテグレーターと機械系(FA 部門)のインテグレーターに分かれています。 一方で、お客様が求めているのは、より効率的に基幹系と制御系の連携を進めたいので、双方のインテグレーターを横断的に統括し、コーディネートできる統合インテグレーター(欧米ではラインビルダーと呼ばれる) を求めています。

このようなプレーヤーの不足は、日本の製造業にとって非常に大きな問題となっています。(下図) 特に、日本の大企業でも生産技術部門が IT 部門の企画者、FA 部門の企画者は存在しているものの、双方の 知識を有しており、ラインビルダーの役割を担う SIer(企画者)が不足し、必要な人材を外部から調達する 事で何とか双方のシステム間連携を実現しているが現状で、現場の機械系ネットワークを基幹系ネットワー クにつなぐ仕組みをコーディネートすることができない企業が多く存在しています。そのような現状の中で、 我々コスモ技研のような基幹系から機械系まで一気通貫で対応できるロボットシステムインテグレーターの重要性が高まっているのが現状です。

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ロボットシステムインテグレーター(ロボット SIer)の重要性

ロボットシステムインテグレータ(ロボット SIer)の重要性ということで、そもそもロボッ トメーカーが販売する「産業用ロボット」には物をつかむためのハンドはついておらず、動き方も 教えられていません。そのような中で、中小企業が単独で自社の生産ラインに適合するようにロボッ トシステムを構築することは難しい場合が多いことは、よく言われているお話です。 そこで、肝心となってくるのが、ロボットを使用した機械システムの導入提案・設計・構築等を行 う「ロボットシステムインテグレータ」(ロボット SIer)と呼ばれる企業は、今後ロボットの導入促 進に向けて重要な存在となります。しかしながら、現在の日本において基幹システム(IT 系)と設 備(FA 系)を結び付けて提案できるシステムインテグレーターが不足しているのが現状です。 今後、重要になってくるのは「日本でも全体を提案できるラインビルダーの育成が重要」であり、 急務となっています。

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